歌仙モード
Ancient Nara Landscape - spring day
今日の歌

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる

紫草の生える野を行き、御料地を行きながら、野守が見ているではありませんか。あなたがそんなに袖を振るのを。

#恋#秘密#春

額田王

万葉集 巻1-20

万葉集 巻二十 四五一六

新しき年の
はじめの
初春の

奈良時代の歌人・大伴家持が詠んだ、
万葉集最後の一首。
千二百年の時を超え、
新年の雪に込められた祈りを紐解く。

新しき年のはじめの初春の今日ふる雪のいや重け吉事
一首の深層

雪と祈りの情景

Spring Mist

天平宝字三年 正月一日

因幡国庁にて

「新しき年のはじめの初春の今日ふる雪のいや重け吉事」

この歌は、天平宝字三年(759年)の元旦、因幡国(現在の鳥取県)の国守であった大伴家持が、国庁での新年の宴席で詠んだものです。

当時、雪は豊年の兆し(瑞兆)とされていました。降り積もる雪を目の前にして、家持は「この雪のように、良いこと(吉事)もまた、重なり積もってほしい」という願いを込めたのです。

新しき年のはじめ

年が改まり、全てが新しく始まる元旦の清々しさ。

いや重け吉事

雪が降り積もるように、良いことが幾重にも重なることへの祈り。

Otomo no Yakamochi
万葉集の編纂者

大伴家持

栄光と孤独の狭間で、
言葉を紡ぎ続けた貴公子

大伴家持(718年頃 - 785年)は、奈良時代の名門・大伴氏の嫡流として生まれました。 祖父は安麻呂、父は旅人という歌人の家系に育ち、自身もまた繊細で感性豊かな歌を数多く残しました。

若き日は華やかな恋愛歌を詠みましたが、やがて政治の荒波に揉まれ、一族の衰退を目の当たりにします。 彼の歌風は次第に、人生の哀愁や無常観を帯びたものへと深まっていきました。

三十六歌仙の一人
中納言まで昇進
万葉集 473首収録
言の葉を尋ねて

万葉集 歌検索

大伴家持をはじめ、柿本人麻呂、額田王など万葉集を代表する歌人の名歌を収録。
キーワードやテーマから、千年の時を超えて響く心の歌を探すことができます。

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大伴家持
万葉集 巻20-4516

新しき年のはじめの初春の今日ふる雪のいや重け吉事

あらたしき としのはじめの はつはるの きょうふるゆきの いやしげよごと

新しい年のはじめにあたって、このようなきれいな雪が降りつづいている。今年もこのように美しい良い年でありますように。

#新年#雪#祝い#祈り#冬
大伴家持
万葉集 巻19-4290

春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげに鶯鳴くも

はるののに かすみたなびき うらがなし このゆうかげに うぐいすなくも

春の野に霞がたなびいて、なんとなくもの悲しい。この夕暮れの光の中で、鶯が鳴いていることだ。

#春#愁い#自然#鳥
大伴家持
万葉集 巻19-4291

わが屋戸のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも

わがやどの いささむらたけ ふくかぜの おとのかそけき このゆうべかも

私の家の庭のわずばかりの竹群に吹く風の音が、かすかに聞こえるこの夕暮れであることよ。

#夕暮れ#静寂#恋#風
大伴家持
万葉集 巻19-4292

うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しも独りし思へば

うらうらに てれるはるひに ひばりあがり こころかなしも ひとりしおもえば

のどかに照っている春の日に、ひばりが空高く舞い上がって、私の心は悲しい。独り物思いにふけっていると。

#春#愁い#孤独#鳥
大伴家持
万葉集 巻19-4139

春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女

はるのその くれないにおう もものはな したでるみちに いでたつおとめ

春の園の桃の花が紅に美しく咲き映えている。その木の下の道にたたずんでいる乙女よ。

#春#花#乙女#美
大伴旅人
万葉集 巻3-338

験なき物を思はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし

しるしなき ものをおもわずは ひとつきの にごれるさけを のむべくあるらし

どうにもならないことを思い悩むよりは、一杯の濁り酒を飲むほうがよいらしい。

#酒#人生#悩み
大伴坂上郎女
万葉集 巻8-1500

夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ

なつののの しげみにさける ひめゆりの しらえぬこいは くるしきものぞ

夏の野の茂みにひっそりと咲く姫百合のように、人に知られない恋は苦しいものです。

#夏#恋#花#苦しみ
山上憶良
万葉集 巻5-803

銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも

しろがねも くがねもたまも なにせむに まさるたから こにおしかめやも

銀も金も宝石もどうして優れた宝である子供に及ぶだろうか(いや、及ばない)。

#家族#子供#宝
大伴家持
万葉集 巻18-4094

海行かば水漬く屍山行かば草生す屍大君の辺にこそ死なめかへり見はせじ

うみゆかば みづくかばね やまゆかば くさむすかばね おおきみの へにこそしなめ かえりみはせじ

海を行けば水に漬かった屍となり、山を行けば草が生す屍となろうとも、大君のお足元でこそ死のう。後ろを振り返ることはしない。

#忠誠#決意#大伴氏
大伴家持
万葉集 巻17-3983

あしひきの山下響め鳴く鳥の声聞くごとに君を偲はむ

あしひきの やましたとよめ なくとりの こえきくごとに きみをしのわむ

山の麓に響き渡るように鳴く鳥の声を聞くたびに、あなたのことを思い出すでしょう。

#兄弟#鳥#追憶
柿本人麻呂
万葉集 巻1-48

東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ

ひむがしの のにかぎろいの たつみえて かえりみすれば つきかたぶきぬ

東の野に明け方の光が差し始めるのが見えて、振り返って西の空を見ると、月が傾いて沈もうとしている。

#自然#夜明け#月#風景
柿本人麻呂
万葉集 巻11-2802

あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む

あしひきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねむ

山鳥の垂れ下がった尾のように長い長い秋の夜を、私は一人寂しく寝るのだろうか。

#恋#孤独#秋#夜
額田王
万葉集 巻1-8

熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな

にぎたつに ふなのりせむと つきまてば しおもかないぬ いまはこぎいでな

熟田津で船を出そうと月が出るのを待っていると、潮の流れも良くなった。さあ、今こそ漕ぎ出そう。

#旅#月#海#決意
額田王
万葉集 巻1-20

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる

紫草の生える野を行き、御料地を行きながら、野守が見ているではありませんか。あなたがそんなに袖を振るのを。

#恋#秘密#春
山部赤人
万葉集 巻3-318

田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける

たごのうらゆ うちいでてみれば ましろにぞ ふじのたかねに ゆきはふりける

田子の浦を通って視界の開けたところに出て見ると、富士山の高い嶺に真っ白に雪が降り積もっていることだ。

#自然#富士山#雪#風景
東歌
万葉集 巻14-3373

多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだ愛しき

たまがわに さらすてづくり さらさらに なにそこのこの ここだかなしき

多摩川にさらしている手織りの布のように、さらにさらに、どうしてこの子がこんなにも愛しいのだろう。

#恋#東歌#川
防人歌
万葉集 巻20-4346

父母が頭掻き撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる

ちちははが かしらかきなで さくあれて いいしことばぜ わすれかねつる

父母が私の頭を撫でて、「無事でいなさいよ」と言ってくれた言葉が、どうしても忘れられない。

#家族#防人#別れ#追憶
額田王
万葉集 巻4-488

君待つと我が恋ひをれば我が宿の簾動かし秋の風吹く

きみまつと わがこいおれば わがやどの すだれうごかし あきのかぜふく

あなたを待って私が恋しく思っていると、家の簾を動かして秋の風が吹いてくる。

#恋#秋#風#待つ
柿本人麻呂
万葉集 巻3-266

近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ

おうみのうみ ゆうなみちどり ながなけば こころもしのに いにしえおもほゆ

近江の海の夕波に千鳥が鳴くと、心がしおれるほどに昔のことが思い出される。

#追憶#鳥#海#哀愁
山上憶良
万葉集 巻3-337

憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむ

おくららは いまはまからむ こなくらむ それそのははも われをまつらむ

私、憶良はもうおいとましましょう。家では子供が泣いているでしょうし、その母(私の妻)も私を待っているでしょうから。

#家族#子供#帰宅
山上憶良
万葉集

貧しさに耐え忍びつつ暮らしつつ思ふことはただ君を思ふ

まずしさに たえしのびつつ くらしつつ おもうことは ただきみをおもう

貧しさに耐えながら暮らしているが、私が思うのはただあなたのことだけだ。

#貧困#家族#愛
高市黒人
万葉集 巻1-64

磯の上のつらら如衣あらずしてまたも我が君衣貸さめや

いそのかみ つららごところも あらずして またもわがきみ ころもかさめや

磯の上のつららのような薄い衣ではなくて、またもやあなたは私に衣を貸してくださるだろうか。

#旅#衣#冬
志貴皇子
万葉集 巻8-1418

石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも

いわばしる たるみのうえの さわらびの もえいづるはるに なりにけるかも

岩の上を激しく流れる滝のほとりのさわらびが萌え出る春になったことだなあ。

#春#自然#喜び
大津皇子
万葉集 巻3-416

百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ

ももづたう いわれのいけに なくかもを きょうのみみてや くもがくりなむ

磐余の池に鳴く鴨を見るのも今日限りで、私は死んで雲隠れしてしまうのだろうか。

#死#悲哀#辞世
有間皇子
万葉集 巻2-142

家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る

いえにあれば けにもるいいを くさまくら たびにしあれば しいのはにもる

家にいれば器に盛るご飯を、旅にあるので椎の葉に盛ることだ。

#旅#悲哀#食事
一族と絆

大伴氏の人々

名門・大伴氏の栄光と没落の中で、家持を支え、影響を与えた人々。
父・旅人や叔母・坂上郎女との深い絆が、彼の歌を育みました。

父子叔母・教育係夫婦・恋心母娘異母兄妹父子盟友・筑紫歌壇父子兄弟
大伴家持
本人
大伴旅人
大伴坂上郎女
叔母・姑
坂上大嬢
大伴安麻呂
祖父
山上憶良
父の盟友
大伴書持

人物詳細

相関図の人物をクリックして
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旅する歌人

家持ゆかりの地

都での華やかな生活から、地方官としての赴任まで。
家持がその生涯で訪れ、数々の名歌を残した場所を地図で辿ります。

718年718年 (養老2年頃)780年

人生の旅路

養老2年頃・0歳

平城京(誕生)

大伴旅人の長男として平城京に生まれる。名門大伴氏の嫡流として期待されて育つ。

言の葉の遺産

万葉集と代表歌

Manyoshu Scroll
春愁三首

春の野に
霞たなびき
うら悲し
この夕かげに
鶯鳴くも

春の夕暮れの美しさと、そこに漂う得体の知れない悲しみ(春愁)を見事に表現した、家持中期の傑作。

七夕
百人一首

かささぎの
渡せる橋に
おく霜の
白きを見れば
夜ぞ更けにける

七夕伝説の「かささぎの橋」と宮中の階段を重ね合わせ、冴え渡る冬の夜空と霜の白さを幻想的に詠んだ一首。

忠誠
海ゆかば

海行かば
水漬く屍
山行かば
草生す屍
大君の辺にこそ死なめ

大伴氏の武門としての誇りと、天皇への絶対的な忠誠を誓った長歌の一部。家持の強い意志が込められている。