ぬかたのおおきみ
7世紀中頃
飛鳥時代の皇族・歌人。天武天皇の妻となり、後に天智天皇に寵愛された。
鏡王の娘として生まれ、最初は大海人皇子(後の天武天皇)の妻となり十市皇女を産みました。その後、中大兄皇子(後の天智天皇)に寵愛され、壬申の乱という激動の時代を生き抜きました。
格調高く、華麗で情熱的な歌風が特徴です。恋愛歌だけでなく、儀礼的な歌や自然を詠んだ歌にも優れ、万葉集初期を代表する女性歌人です。
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな
にぎたつに ふなのりせむと つきまてば しおもかないぬ いまはこぎいでな
訳:熟田津で船を出そうと月が出るのを待っていると、潮の流れも良くなった。さあ、今こそ漕ぎ出そう。
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる
訳:紫草の生える野を行き、御料地を行きながら、野守が見ているではありませんか。あなたがそんなに袖を振るのを。
君待つと我が恋ひをれば我が宿の簾動かし秋の風吹く
きみまつと わがこいおれば わがやどの すだれうごかし あきのかぜふく
訳:あなたを待って私が恋しく思っていると、家の簾を動かして秋の風が吹いてくる。